生成AIでクロス集計する方法|アンケートの件数と割合を確認
生成AIでアンケートをクロス集計する手順を、架空の12件で解説。行と列の決め方、未回答の扱い、割合の分母、表計算での検算、報告文の確認まで紹介します。福島県の中小企業の総務・研修担当者向けです。
説明会のアンケートを集計したものの、全体の満足度だけでは次に何を直すか決めにくい。そんなときは、参加方法などの区分と回答を掛け合わせる「クロス集計」で、区分ごとの内訳を確かめられます。生成AIには集計条件と表の下書きを依頼し、担当者が元の回答と件数を照合する進め方を提案します。
先に決めたいのは、何と何を掛け合わせ、誰を割合の分母にするかです。同じ「満足4件」でも、5件中の4件と6件中の4件では割合が変わります。未回答を含めるかどうかを決めずに表を作ると、説明する人によって数字が変わってしまいます。
福島県の中小企業でアンケートや研修を担当する方に向け、12件の練習データで手順を紹介します。数値・設定・完成例は編集部が作成した架空のもので、実在する企業の調査結果やAI製品の実行結果ではありません。
クロス集計は、二つの項目を掛け合わせて内訳を見る
単純集計では「満足が何件あったか」を数えます。クロス集計では「会場参加とオンライン参加で、満足・普通・不満がそれぞれ何件あったか」のように、もう一つの項目で分けて数えます。
今回の目的は、参加方法別の回答を確認し、次回の説明会で追加確認する点を考えることです。行に参加方法、列に満足度を置きます。満足度は一人につき一つだけ選ぶ設問とし、未回答も独立した列に残します。
| 決めること | 練習例での設定 |
|---|---|
| 集計対象 | 架空の説明会アンケート12件 |
| 1件の単位 | 一人分の回答レコード。重複なし |
| 行 | 会場、オンライン |
| 列 | 満足、普通、不満、未回答 |
| 主に使う割合 | 各参加方法の全レコードを分母にした割合 |
| 比較の範囲 | 今回の回答レコード内。全参加者を代表すると扱わない |
自由記述の要約は顧客アンケート・お客様の声の整理、配布前の質問文づくりはアンケート設問の作成手順で扱っています。ここでは、選択式の回答を数え、分母をそろえて説明する作業に絞ります。
AIへ渡す前に、回答の単位と未回答の意味を確認する
元の表では、同じ回答IDが二度入っていないか、列名と選択肢がそろっているかを見ます。同じ人の再提出があるなら、最新の回答を採用するのかなど、集計担当者が先に決めてください。AIに任せて都合のよい行だけ残す運用にはしません。
空欄も一種類とは限りません。「答えていない」「質問が表示されなかった」「取り込みに失敗した」では意味が違います。今回の例では全員に同じ質問が表示され、1件だけ満足度が未回答だった、という条件を置きます。
実際のアンケートを使う場合は、社内で利用を認めたAIと入力範囲を確認します。氏名を回答IDへ変えても、所属や自由記述の組み合わせから個人が分かることがあります。まずは下の架空データで試し、実データの扱いは社内のAI活用ルールに沿って判断してください。
12件の架空データからクロス集計表を作るプロンプト
以下を新しい会話へ貼り付け、表の下書きを依頼します。使用するAIによって出力は異なるため、続く完成例と見比べてください。
次の架空のアンケートをクロス集計してください。
研修用データであり、実在する個人の回答ではありません。
目的:参加方法別の満足度の内訳を確認する。
1行は一人分の回答レコード。回答IDの重複はない。
全員に同じ満足度の質問を表示した。単一回答である。
「未回答」は質問に答えなかったことを示す。
アンケートを提出しなかった参加者の人数は不明。
回答ID,参加方法,満足度
R01,会場,満足
R02,会場,満足
R03,会場,満足
R04,会場,満足
R05,会場,普通
R06,会場,未回答
R07,オンライン,満足
R08,オンライン,満足
R09,オンライン,普通
R10,オンライン,普通
R11,オンライン,不満
R12,オンライン,不満
作るもの:
1. 行が参加方法、列が満足・普通・不満・未回答の件数表。
各行の合計、各列の合計、全体合計も示す。
2. 各行の合計を分母にした割合表。未回答も分母に含める。
小数第1位まで表示し、計算は丸め前の値で行う。
3. 元データと照合する箇所、および表に添える注記。
4. 表から分かることと、まだ判断できないことを分けた短い報告文。
条件:
・元の値を変更したり、未回答を推測で補ったりしない。
・該当回答がない組み合わせは0件とする。
・分母が0なら割合は算出不可とする。
・全体行の割合は、各行の割合の平均ではなく件数から再計算する。
・参加方法が満足度の差を生んだとは断定しない。
・回答率、全参加者の満足度、有意差は算出しない。
・ファイルの上書き、外部への送信や公開はしない。
件数表は、縦と横の合計を12件に合わせる
照合用の完成例は次のとおりです。該当者がいない「会場・不満」は0件、回答していない「会場・未回答」は1件として区別します。
| 参加方法 | 満足 | 普通 | 不満 | 未回答 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 会場 | 4 | 1 | 0 | 1 | 6 |
| オンライン | 2 | 2 | 2 | 0 | 6 |
| 全体 | 6 | 3 | 2 | 1 | 12 |
元データから「会場かつ満足」の行を抜き出すと、R01〜R04の4件です。まずこのように一つの組み合わせを確認し、残りも数えていきます。全体12件という合計だけでは、満足と普通を取り違えた誤集計を見つけられないためです。
Excelなどの表計算で照合するなら、フィルターで組み合わせごとの行を数えるか、ピボットテーブルで行に参加方法、列に満足度、値に回答IDの件数を設定する方法があります。読み込んだ範囲が12行すべてを含むか、回答IDが空欄ではないかも確かめてください。
担当者が見る順序は、次の四つです。
- 回答IDが12種類あり、重複や対象外の行がないか。
- 各セルの件数が、該当する回答IDの数と一致するか。
- 行合計が6件ずつ、列合計が6・3・2・1件になっているか。
- 縦と横のどちらから足しても、全体が12件になるか。
元データを確認できない箇所は、確認済みにせず保留にします。AIへ再質問するだけで検算を終えるのではなく、元の表から独立して数え直すところまでを集計作業に含めます。
割合は「何件中の何件か」を表の近くに書く
今回は、未回答を含む各参加方法の6件を分母にします。「会場の満足」は4÷6×100で約66.7%、「オンラインの満足」は2÷6×100で約33.3%です。
| 参加方法・分母 | 満足 | 普通 | 不満 | 未回答 |
|---|---|---|---|---|
| 会場・6件 | 66.7% | 16.7% | 0.0% | 16.7% |
| オンライン・6件 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 0.0% |
| 全体・12件 | 50.0% | 25.0% | 16.7% | 8.3% |
注記は「各参加方法の全回答レコードを分母とし、満足度の未回答を含む。小数第1位への丸めにより、行の合計が100%と一致しない場合がある」とします。会場は表示上100.1%、オンラインは99.9%ですが、件数から計算した丸め前の割合は各行100%です。見た目を合わせるために、どれかの値を黙って調整しないでください。
満足度に回答した人だけを分母にする目的なら、会場は未回答1件を除いた5件が分母となり、満足は4÷5×100=80.0%です。この計算もできますが、66.7%とは別の条件です。「未回答を除く満足度回答者5件中4件」と明記し、同じ表の途中で分母を切り替えないようにします。
また、「満足と答えた人のうち会場参加は何割か」を知りたい場合は、満足の合計6件が分母になります。行の割合と列の割合は答える問いが違います。今回たまたま分母が同じ6件でも、同じ意味の数字として扱わないことが大切です。
報告文は、今回の内訳と原因の推測を分ける
今回の表なら、「提出された12件のうち、会場は満足4件、オンラインは満足2件だった」と説明できます。一方、「オンライン参加だから満足度が下がった」とは、この表だけでは判断できません。内容、参加者の事情、接続状況などを調べていないためです。
報告文は、たとえば次のようにまとめられます。
架空のアンケート12件を参加方法別に集計した。満足は会場6件中4件、オンライン6件中2件だった。会場には満足度の未回答が1件あり、割合の分母に含めた。今回の回答内での違いであり、参加方法による効果や全参加者の傾向を示す結果とは扱わない。次回の案内改善に向け、回答内容を追加確認する。
この例では全参加者数も、アンケートを提出しなかった人数も分かりません。12件を分母にして「回答率100%」と書くのは誤りです。また、少数の区分を細かく分けすぎると、1件の違いで割合が大きく動きます。人数を添え、社員や拠点の順位付けへ直結させない運用を勧めます。
共有する表は、少人数の属性の組み合わせから個人の回答が分からないかも点検します。氏名欄を削ったという理由だけで、全社へ配布してよいとは判断しません。
生成AI研修では、分母を変えた二つの表を見比べる
福島県内の企業で演習するなら、この12件から「未回答を含む表」と「満足度の未回答を除く表」を作り、違いを説明するところまで試してください。作成者以外が「会場の満足66.7%は何件中の何件か」を答えられるかが、確認の目安になります。
次回も使うために残すのは、プロンプトだけではありません。採用した行と列、対象期間、重複の扱い、未回答の定義、分母、照合した元ファイルの版を一緒に記録します。設問が単一回答から複数回答へ変わったら、前回の集計条件をそのまま使わず見直しましょう。
福島県の企業向けAI活用支援へ相談する際は、アンケートの目的、選択式か自由記述か、現在の集計・確認で手間がかかる箇所をお知らせください。実際の回答データを送る前に、空欄の様式や架空の例で演習範囲を相談できます。
アンケートのクロス集計と生成AIでよくある質問
複数回答の設問にも同じ割合表を使えますか?
そのままは使えません。一人が複数の選択肢を選ぶ場合、選択件数の合計と回答者数が異なります。回答者数を分母にした選択率では、選択肢の割合の合計が100%を超えることがあります。数える単位と分母を別途決めてください。
未回答は集計から外した方がよいですか?
目的に応じて決め、外した件数と理由を示します。今回のように提出されたレコード全体の内訳を確認するなら、未回答を独立した区分として残せます。質問が表示されなかった人まで、答えなかった人と一緒にしないようにしてください。
割合に差があれば、施策の効果を判断できますか?
割合の差だけで効果や原因は決められません。比較する条件、回答者の集まり方、人数などの確認が必要です。まずは今回の回答の内訳として報告し、追加で確かめることを整理します。