税理士・会計事務所のAIチャット活用|資料依頼と面談メモ
税理士・会計事務所が、確認済みの不足資料リストから依頼文を作り、面談後の対応事項を整理する方法を紹介。架空の完成例と守秘・確認の考え方を解説します。
税理士・会計事務所では、担当者が確認した不足資料の一覧から、生成AIで顧問先への依頼文を作れます。面談後も、担当者と期限が決まっている対応事項を整理する用途があります。
この記事は、ChatGPTやClaudeなどのAIチャットに材料と指示を貼り、返ってきた文章を担当者が確認する使い方を扱います。チャットにもファイルを扱える機能はありますが、ここでは文章のやり取りだけで試します。
まずは架空の資料依頼で、受領済みの資料を再依頼せずに文面を作れるかを試します。続けて、面談後の対応を担当・期限ごとに整理する例を紹介します。
依頼する資料は、担当者が先に確定する
AIに「この会社の申告に必要な資料をすべて教えて」と任せると、顧問先の状況や契約の範囲に合わない一覧になるおそれがあります。必要資料の判断を担当者が済ませ、その一覧を伝わりやすい文面にするところで使います。
| 用意する項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 資料名と対象期間 | 担当者が必要と判断した範囲 |
| 受領状況 | 未受領、受領済み、確認中の区別 |
| 提出希望日 | 事務所が決めた依頼上の日付 |
| 提出方法 | 事務所が指定する安全な経路 |
提出希望日は、法定の申告期限と混同させないように書きます。資料名が曖昧な場合も、AIに税務上の意味を推測させず、担当者が具体化します。
不足資料の一覧を、依頼文に変える
次の材料は練習用の架空データです。実在する顧問先や、税法上の必要資料・期限を示すものではありません。
【架空の不足資料リスト】
対象:9月分の月次確認
未受領:9月分の売上請求書控え
受領済み:9月分の経費領収書
提出希望日:11月5日(事務所の依頼上の日付)
提出先:事務所指定の共有フォルダ
提出が難しい場合:担当者へ予定日を連絡してもらう
事務所で利用を認めたChatGPTやClaudeを開き、新しいチャットを始めます。上の架空のリストを入力欄に貼り、その続きに下の指示文を貼って、まとめて送信してください。最初は顧問先の情報に置き換えず、この例のままで試します。
上の一覧だけを使い、顧問先への短い資料依頼文を作ってください。
資料名、対象月、提出希望日、提出先を明記してください。
受領済みの資料は再依頼せず、必要資料を勝手に追加しないでください。
提出希望日を法定期限とは表現しないでください。
完成例(架空の材料をもとに編集部で作成)
9月分の月次確認にあたり、売上請求書の控えをご用意ください。11月5日を提出希望日として、事務所指定の共有フォルダへの保存をお願いいたします。ご用意が難しい場合は、提出の予定日を担当者へお知らせください。9月分の経費領収書は受領しています。
担当者は受領状況の一覧と照合します。「提出がなければ申告できません」など、材料にない判断や、不必要に強い催促が加わっていれば直します。
面談メモは、決定事項と確認待ちを分ける
面談後は、担当者が内容を確認したメモから、事務所が行うことと顧問先にお願いすることを抜き出せます。録音や議事録を丸ごと入力する前に、守秘義務、顧問契約、利用サービスの条件に照らして扱いを確認する必要があります。
次は、事務所側と顧問先側の対応を含む架空の面談メモです。
【架空の面談メモ】
事務所側:担当職員が追加確認する資料の一覧を作る。期限は未定。
一覧の内容は担当税理士の確認を受けてから顧問先へ連絡する。
顧問先側:担当者が次回面談の候補日を社内で確認する。期限は未定。
新しいチャットの入力欄に、このメモと次の指示文を貼って送信します。
このメモだけを使い、「担当/対応/期限/確認待ち」の表に整理してください。
事務所側と顧問先側の行を分け、決まっていない期限は「未定」と書いてください。
必要な資料の種類や税務判断は追加せず、担当税理士への確認を残してください。
面談メモの整理例(架空の材料をもとに編集部で作成)
| 担当 | 対応 | 期限 | 確認待ち |
|---|---|---|---|
| 事務所の担当職員 | 追加確認する資料の一覧を作成 | 未定 | 連絡前に担当税理士が内容を確認 |
| 顧問先の担当者 | 次回面談の候補日を社内で確認 | 未定 | 社内の確認結果 |
「期限は未定」をAIが翌営業日などに置き換えていないかを確認します。税務判断が必要な点は、担当税理士へ戻してください。
実データの利用は、契約と事務所の運用を確かめてから
TKC全国会のAI活用に関する基本方針の公表資料では、関与先の同意、出力の正確性確認、税理士による最終判断などが示されています。これはTKC会員事務所を対象にした方針であり、すべての事務所の統一規則として紹介するものではありません。
実際の利用では、事務所が加入する団体の最新指針、守秘義務、顧問先との契約、サービス側の情報管理条件を確認します。「AIの学習に使われない設定」だけで、すべての確認が済むわけではありません。
個人情報保護委員会の生成AIに関する注意喚起も踏まえ、顧問先の決算書、申告書、口座情報、個人番号などを練習用に入力しないでください。名前を置き換えても、取引内容から会社が分かる場合があります。
一通の依頼文で、確認の負担を確かめる
担当職員は、受領済みの資料を再依頼していないか、提出希望日を法定期限に変えていないかを先に確認します。面談メモでは、担当と確認待ちの事項を点検してください。こうした確認に必要な時間と修正箇所を記録し、普段の依頼文や対応表づくりと比べます。
そのうえで、社内の生成AI利用ルールに、使えるサービス、入力できる情報、税理士に戻す事項を明記します。
※公式情報の確認日:2026年10月29日。