生成AIで作るパレート図|集計と検算の手順
生成AIでパレート図の集計表を作る手順を、架空の検査記録で解説。指摘件数と不良品数の違い、構成比・累積比率の検算、未分類の扱い、改善候補を選ぶ際の注意点を紹介します。福島県の中小企業の品質管理・業務改善担当者向けです。
検査で見つかった指摘を種類別に並べ、どの項目が全体の何割を占めるかを確かめたい。そんなときは、生成AIにパレート図の元になる集計表を下書きさせ、担当者が件数と計算を照合する使い方があります。
先に決めるのは「何を1件と数えるか」です。一つの製品に傷と汚れがあれば、指摘は2件でも製品は1個。この違いを曖昧にしたまま作図すると、指摘の内訳を不良率と取り違えてしまいます。
福島県の中小企業で品質管理や業務改善を担当する方に向け、集計条件、AIへの依頼、検算、図の読み方を順に紹介します。以下の数値と完成例は編集部が用意した架空の練習用データで、実際の検査記録や特定製品の出力結果ではありません。
パレート図は、項目の件数と累積比率を一緒に見る図
パレート図は、項目の値を大きい順に並べた棒グラフに、累積の構成比を示す折れ線を重ねた図です。全体のどこに件数などが集中しているかを見るために使います。定義と基本的な作図方法は、総務省統計局のパレート図の解説で確認できます。
たとえば、指摘20件のうち傷が8件、汚れが5件なら、傷の構成比は40%、上位2項目までの累積比率は65%です。「傷が全製品の40%に発生した」という意味ではありません。分母は指摘20件であり、検査した製品の総数ではないからです。
また、件数が多い項目が、重大な問題や対策すべき原因と一致するとは限りません。本記事では、確認済みの分類から集計表を作り、次に調べる候補を選ぶところまでを扱います。記録の文章整理は品質検査・不良記録の整理手順、グラフ全般の見せ方は種類・軸・単位の確認手順も参考にしてください。
AIに渡す前に、期間・分類・数え方をそろえる
最初に、小さな範囲を選びます。「工場全体の問題」ではなく、「同じ検査工程で、同じ基準により記録した1週間分の指摘」のように、比較する条件を限定してください。
| 決める項目 | 今回の練習例 |
|---|---|
| 対象範囲 | 架空の同一工程・1週間分 |
| 数える単位 | 指摘1件。製品個数ではない |
| 複数指摘 | 一つの製品に複数種類があれば、それぞれ記録 |
| 分類 | 傷、汚れ、寸法外れ、印字不鮮明、未分類 |
| 集計状態 | 重複記録を除き、20件を確定済み |
| 未分類の扱い | 2件を分母に含め、分類確認が残っていると明記 |
実務では、同じ指摘が再検査のたびに記録されていないかも見ます。再検査を新しい発生として数えるのか、元の記録への追記とするのかを決め、集計条件に残しましょう。
分類できない記録を、AIの判断だけで傷や汚れへ振り分けない運用を勧めます。「未分類」と「その他」も区別します。前者は確認が終わっていない状態、後者は分類ルールに従ってまとめた区分として扱えば、確認待ちの記録が埋もれません。
AIへ入力するのは、会社が認めた範囲の情報だけです。最初の演習は、以下の架空データで試せます。実データを使う際は、製品名を記号に変えるだけで入力可能と判断せず、仕様や取引条件を含めて社内のAI活用ルールを確認してください。
架空の20件から、集計表を作るプロンプト
下の依頼文を、新しい会話に貼り付けて試します。まず表を確かめ、その後で図にする順序です。分類を変更する提案が出ても、元データへ自動で反映させません。
次の架空データから、パレート図の元になる集計表を作ってください。
実際の検査記録ではなく、研修用の練習データです。
目的:指摘件数がどの項目に集中しているかを確認する。
対象:同じ工程・同じ検査基準による架空の1週間分。
単位:指摘件数。一つの製品に複数指摘がある場合は別件として数える。
重複記録は除去済み。検査した製品の総数は与えていない。
入力:
傷 8件
汚れ 5件
寸法外れ 3件
印字不鮮明 2件
未分類 2件
条件:
・件数の多い順。同数なら入力順を維持する。
・未分類も合計と構成比の分母に含める。勝手に分類しない。
・「項目/件数/構成比/累積件数/累積比率」の表を作る。
・割合は小数第1位まで表示し、計算には丸め前の値を使う。
・合計行は別にし、並べ替えや作図の項目に含めない。
・合計が0件なら割合は計算せず、算出不可と書く。
・計算式、検算箇所、図に添える注記を示す。
・不良品数、不良率、原因、対策の効果は推測しない。
・表から読み取れることと、まだ分からないことを分ける。
まだ作図や元ファイルの変更はしないでください。
担当者が照合する完成例は次のとおりです。
| 項目 | 件数 | 構成比 | 累積件数 | 累積比率 |
|---|---|---|---|---|
| 傷 | 8 | 40.0% | 8 | 40.0% |
| 汚れ | 5 | 25.0% | 13 | 65.0% |
| 寸法外れ | 3 | 15.0% | 16 | 80.0% |
| 印字不鮮明 | 2 | 10.0% | 18 | 90.0% |
| 未分類 | 2 | 10.0% | 20 | 100.0% |
合計は20件です。上位3項目で16件、全体の80%を占めます。ただし、未分類2件を確認して分類し直せば、項目ごとの件数や順位が変わる可能性があります。会議では「未分類2件を含む暫定的な内訳」と説明します。
構成比と累積比率は、元の件数から検算する
AIが出した表は、電卓や普段使っている表計算ソフトで計算し直します。同じAIに「正しいですか」と聞き直すだけで、検算を終えないようにしてください。
計算は次の三つに分けると追えます。
- 構成比=その項目の件数÷全項目の合計×100
- 累積件数=先頭からその行までの件数の合計
- 累積比率=その行の累積件数÷全項目の合計×100
汚れまでの累積比率なら、(8+5)÷20×100=65%です。丸めた構成比を順番に足すのではなく、累積件数から計算します。数値によっては、表示上の構成比を足しても丸めのため100%にならないことがあるためです。
次の四点を元データと照合してください。
- 項目の欠落や、合計行の二重計上がない。
- 件数が大きい順に並び、同数の順序も指定どおりになっている。
- 最後の累積件数が合計と一致し、合計が正なら最後の累積比率が100%になる。
- 未分類を残したか、除外したかが表と注記で一致している。
今回、未分類2件を黙って外すと分母は18件になり、傷の構成比は約44.4%へ変わります。計算自体が合っていても、「全指摘に占める割合」という目的からずれてしまいます。
合計が0件なら、構成比を0%と並べず「算出不可」と記録します。件数の空欄も、記録上の0件とは分けて扱いましょう。
パレート図にするときは、表と図の対応を確かめる
集計表を確認したら、社内で使用を認めている作図ソフトに表を渡します。製品ごとのボタン操作はここでは扱いませんが、設定する内容は整理できます。
- 横軸は、確認済みの項目順にする。
- 棒は指摘件数を示し、件数の軸は0から始める。
- 折れ線は累積比率を示し、割合の軸は0〜100%にする。
- 「件」と「%」を別の軸に明記し、合計行を一つの棒にしない。
- 対象期間、数え方、未分類の扱いを図の近くに残す。
この例なら、棒の値は8・5・3・2・2、各項目に対応する折れ線の値は40・65・80・90・100%です。図を資料へ貼った後も、この組み合わせが崩れていないか見比べます。
注記は「架空の同一工程・1週間分。指摘件数ベース。1製品の複数指摘を含む。未分類2件を含む」のように書けます。グラフだけを切り出して共有しても、分母が伝わる状態にしてください。
件数の多さと、改善を急ぐ理由を分ける
この表から読み取れるのは、記録された指摘の内訳です。「傷が多いから作業者の扱いが悪い」「上位3項目に対策すれば不良を80%減らせる」とは言えません。原因を調べる資料や、対策後の確認結果がまだないからです。
会議では、次に確認することを一緒に残すと、図の説明だけで終わらずに進められます。
| 図からの気付き | 担当者が次に確かめること |
|---|---|
| 傷が8件で最多 | 発見した工程や発生条件に偏りがあるか |
| 上位3項目で16件 | 各項目の対策候補と、試す範囲を整理できるか |
| 未分類が2件ある | 記録を確認し、分類を確定できるか |
| 少数の項目も残っている | 件数とは別に、影響の大きさや対応期限を確認すべきか |
安全や出荷可否に関わる判断は、既存の基準と責任者の判断に従います。パレート図の順位を、そのまま対応の順位に置き換えないでください。
改善前後を比べる際は、検査数、対象製品、期間、分類基準もそろえるか、違いを明記します。指摘件数が減っても、検査した製品数そのものが減っていれば、それだけで改善効果とは判断できません。
生成AI研修では、正しい表と間違った表を見比べる
福島県内の企業で研修の題材にするなら、今回の20件を使い、担当者が計算を追える範囲で試してみてください。たとえば「未分類を除いた表」「合計行も並べ替えた表」「件数を不良率と説明した文」を見比べると、確認すべき箇所を話し合えます。
最初の目標は、見栄えのよい図を作ることよりも、元データと表の関係を説明できることです。入力条件を残し、別の担当者が同じ合計と割合を再計算できれば、翌月の集計にも使いやすくなります。
福島県の企業向けAI活用支援へ相談する際は、扱いたい記録の種類、現在の集計方法、確認に時間がかかる箇所をお知らせください。実際の検査記録を送る前に、架空の表で演習できる範囲から相談できます。
パレート図と生成AIについてよくある質問
上位80%までの項目だけ対策すればよいですか?
80%は、それだけで対策範囲を決める基準にはなりません。今回の架空例では上位3項目の累積比率が80%ですが、他のデータでも同じ配分になるとは限りません。件数に加えて、影響、期限、対策の実行条件を確認します。
一つの製品に複数の指摘があっても集計できますか?
指摘件数を単位にするなら、それぞれを数えて内訳を作れます。ただし、その合計は不良品の個数とは異なります。不良品数や不良率を知りたい場合は、製品単位の重複を除く集計と検査総数を別に用意してください。
AIに原因まで出してもらってよいですか?
調査する仮説の候補として依頼することはできます。表だけでは原因を確定できないため、出てきた候補には「未検証」と付け、確認する記録や観察項目を併記します。原因が分かったような報告文へ変えないことが必要です。